医療用ウィッグでもポニーテールはできる?
抗がん剤治療の副作用の一つに、脱毛があります。
それ以外の副作用だけでもつらいのに、外見が変わってしまう事の苦痛が加わるのは、非常につらい物があります。
このようなつらさだけでも解決して、患者さんのQOL(生活の質)が低下することを防ぐことができれば、それが治療への意欲に繋がっていきます。
副作用の脱毛に困っている方も多いと思いますが対処法の一つに、医療用ウィッグがあります。
そんなウィッグのヘアアレンジは可能なのでしょうか?
医療用ウィッグは、ヘアースタイルの変更も可能です
オシャレ用のカツラと違って医療用ウィッグは、長時間の着用となります。
また、治療の進行状況によって脱毛の量が変わってきます。
そのため、軽量化に拘ったり直接地肌に当たってもチクチクしないように工夫を凝らしたりしています。
オシャレ用のカツラよりも高額になってしまうのは、このためです。
そして、脱毛の量に合わせてヘアスタイルの変更ができるように材質にもこだわりがあります。
サイズの変更ができないと、次第に違和感を感じて着け心地が悪くなるので、ヘアースタイルが変更可能であることは重要ポイントの一つになるのです。
材質は人毛と人工毛とミックス毛の3種類があります。
人毛は高価になりますが見た目も自然で、パーマやドライヤーやくるくるでカールを作ることも可能です。
人工毛でも良質の物であれば、見た目も人毛と変わりません。
ある程度のヘアーアレンジも可能ですが、熱に弱いのでドライヤーの使い方には注意が必要になります。
ミックス毛は価格的にも人毛と人工毛の中間で人気が高いです。
いずれの材質でも、ヘアースタイルの変更も可能な点が、おしゃれカツラとは違ったところです。
ポニーテールなどでオシャレを楽しむこともできます
医療用ウィッグを使っている患者さんの中には、今までできなかったオシャレを楽しんでいる人も多いです。
ポニーテールや「くるりんぱ」をやりたくても、自分の髪の場合は腕を頭の後ろに回して、長い時間腕を上げて髪形を整えなくてはなりません。
中にはこれが大変で、ポニーテールやくるりんぱをあきらめていた人も少なくないようです。
しかし、ウィッグの場合はポニーテールなどを作ってから頭に被ればいいので、腕を上げる必要もなく楽だし、おまけに綺麗にできます。
また、友達や兄弟姉妹の結婚式の時には美容院に行って美容師さんに「夜会巻き」にしてもらって出席したといういう人もおられます。
頭にくっついている自分の髪ではできなかったことが、医療用ウィッグを使うようになってからは楽にできるようになって、オシャレに目覚めたという人もいます。
ちょっと茶目っ気がある人は「きれいな髪形ですね」と褒められた時は、「実はウィッグを使っているんです」と外して、相手がイガグリ頭を見てびっくりするのを楽しんでいる、という人もおられます。
皆さん、がんになったことをマイナスと考えず前向きです。
あなたも医療用ウィッグで、オシャレを楽しんでください。
カツラというよりも自分の髪という感覚です
医療用ウィッグと聞くと、「抗がん剤でハゲになった頭を隠すもの」というマイナスのイメージしか抱けないかもしれません。
医療用ウィッグのパンフレットを看護師さんから渡されたときは「何も悪いことなどしていないのに、どうしてこんな物を使わなきゃいけなくなってしまったのだろう」と、何だか悲しい気持ちになったと話す人も少なくありません。
しかし、実際に使っている大半の人が、最初に抱いていたこのようなマイナスイメージは、いつの間にか薄れていきます。
いつの間にか、自分の頭髪と同じような感覚になって、マイナスイメージは無くなってしまうようです。
一般的なオシャレ用のカツラとは違って着け心地も軽いので、つけていることを忘れていることが多いです。
医療用ウィッグはヘアーカットしたりカールを作ったり、ポニーテールやくるりんぱや編み込みなども可能です。
腕を高く上げて頭の後ろに回さなくて、頭に被る前に綺麗にポニーテールなどを作ってから被ればOKです。
外見上の悩みだけでも解決すれば、QOLも上がって治療にも積極的になることができるでしょう。
医療用ウィッグはハゲ隠しの被り物ではありません。
どうぞオシャレを楽しんでください。