人毛の医療用ウィッグはどうやって作られているの?
人毛の医療用ウィッグは、人工毛に比べると髪質が圧倒的に高品質で、とても自然に見えると人気です。この人毛で作られたウィッグ、どうやって作られているか知らない人も多いでしょう。今回の記事では、人毛の医療用ウィッグを作る髪の毛がどうやって集められているかを紹介します。どのような髪の毛を使っているのかもみていきましょう。
ヘアドネーションで集まった髪を利用している
ヘアドネーションとは、小児がんや先天性脱毛症、無毛症、その他の疾患や思わぬ事故などで髪の毛を失った18歳以下の子どもたちに、人毛を使用したウィッグを届ける活動のことです。
抗がん剤や放射線治療により髪の毛が抜けていく現実に、塞ぎこむ子どもたちがたくさんいます。友達の目が気になって、不登校になる子どもたちも少なくありません。そこで医療用ウィッグの出番です。
医療用ウィッグには、人毛と人工毛、両方を混ぜたミックス毛で作られた種類があります。人工毛で作られたウィッグは安価ですが、アクリルや化学繊維でできているため、絡みやすくて扱いにくいのが難点です。
また、一目でカツラだとわかってしまうため、期待していた子どもたちは残念な気持ちになってしまうでしょう。そのような子どもたちのため、髪の毛を寄付して医療用ウィッグを作る「ヘアドネーション活動」が存在しています。
髪を寄付する際には注意点がたくさんある
髪を寄付する際にはいくつかの注意点があります。大切に伸ばしてきた髪をせっかく寄付するため、ルール通りに準備しましょう。
・最短でも31センチの長さが必要
31センチ以上あることが大前提です。ショートやボブスタイルのウィッグなら31センチも必要ないのではと考えた方もいるかもしれませんが、スタイルではなくウィッグの作り方に関係しています。
送られた髪の毛は、半分に折ってベースの生地に結びつけて植毛していきます。そのため、31センチもの長さが必要なのです。
白髪やくせ毛はもちろん、カラーやブリーチ、パーマをしていても問題ありません。痛んでいても、引っ張って切れなければ大丈夫です。特別なヘアケアも必要なく、通常通りのお手入れをしていれば受け取ってもらえます。
・髪の毛が乾いていること
シャンプーをしてからきれいな状態で送りたい気持ちもわかりますが、必ず乾ききった状態の髪を送りましょう。湿っていると雑菌が繁殖したり、臭いの原因になったりします。
繊維も傷みやすく、最悪の場合にはカビが発生することも。美容院ではシャンプー前に、先にカットしてもらうように伝えましょう。
・輪ゴムでしっかりとくくっておく
一度バラバラになった髪の毛は、利用できなくなってしまいます。配送の間にほどけてしまわないよう、きつめにくくっておきましょう。
カットした後の髪を送る
・髪を何束かに分け、輪ゴムでくくる
毛量の少ない方なら3〜5等分、多い方なら5〜8等分程度を目安に分け、輪ゴムでくくります。束ねる量が多過ぎると、切り口が揃わなかったり、途中で髪の毛がバラバラになったりしてしまいます。人差し指一本分くらいを目安にするといいでしょう。
・ゴムの上1センチあたりをハサミでカット
先ほどブロッキングした髪を、輪ゴムの1センチ上あたりでカットします。必ず長さが31センチ以上あるか、確認しながら切りましょう。
・カットした毛束をさらにまとまる
毛束を一つにまとめて、さらに輪ゴムでくくります。最初の輪ゴムより少し下くらいの位置がきれいにまとまります。
・同一人物のものだけでまとめる
複数の人の髪をまとめて送るときは、一人分ずつに分けてまとめます。
・梱包、発送方法
まとめた毛束はそのまま封筒などに入れて送ります。食品用ラップや、ティッシュ、布などで包むのは厳禁です。開封作業に時間がかかってしまうからです。
ヘアドネーションに利用する髪の毛は、たくさんの条件があることがわかりましたね。31センチ以上の長さがあれば、ヘアドネーションの活動に参加してみてはいかがでしょうか。